ギタブロー

ギターのことや機材、バンドについて好き勝手語るブログです

BOSS GT-6 レビュー

f:id:gitarou:20240407090805j:image

・概要

GT-6は2000年初期に販売されたギター用マルチエフェクターで、それまでのGTシリーズからデザインやシステムが一新されたものになっています。

COSM技術がアンプシミュレータだけでなく歪みエフェクターにも採用されています。

特にアンプシミュレータやアナログライクなつまみなど当時の音楽シーンの需要に合わせているような印象をうけます。

 

・ハードウェア面

シャンパンゴールドのボディ色と多数の物理つまみがつけられた外観が目を惹きます。

当時のアナログ回帰の風潮に沿ってコンパクトエフェクター感覚で操作できるように再設計されたようです。

ただし、MEシリーズのものとは異なり、このつまみだけで音作りを完結する事はなく、例えば歪みエフェクトのカテゴリーだとつまみは使用ペダルの選択、GAIN、VOLUMEにバリュエーションのスイッチのみでtrebleやbassなどの細かいイコライジングはシステムの中まで入らないと出来ません。

他のエフェクトにも同様のことが言えるため、やや中途半端な設計の印象を受けます。

メーカーの狙いとしては自宅などで細かい設定を行い、現場で変更頻度の高いパラメータを表のつまみに置き、瞬時に変更出来るようにしたと言う意図は感じられます。

ただロータリーエンコーダー系の部品は故障が多く、分解する時にもその数だけ労力も掛かるのでこれを良い点or悪い点と考えるかは人によると思います。

前機種のGT-3からサイズアップ、重量も4.7kgと重くなりました。

専用アダプターも300〜400gほどある為実質5kg超となります。

重量がある方がステージでワウペダルなど行う時エフェクターがズレて動いたりすることが少なくなるのでその点は良いですが、やはり問題は運搬性に問題が出てくることです。

最新機種のGT1000やME90などと比較しても重く、GTシリーズの中でも最重量級なのでこれを手に持って街中を歩き回るのは正直しんどいと思います。

 

・ソフトフェア面

GTシリーズは電源をONにした時、メモリの保護のためしばらくロード時間が掛かります。

GT-3では7〜8秒掛かっていたのが半分位のロード時間に短縮されています。

ワウとボリュームペダルの同時使用が可能になり、ペダルの踏み込みによってワウやその他アサインした任意の切り替えが可能になりました。

本機からはモデリングを重視しているためか、アンプシミュレータや歪みエフェクターの名称がより具体的になり、特に歪みエフェクターはBOSSの歪みに加え、RATやガバナーなど代表的なエフェクターモデリングが搭載されています。

エフェクトカテゴリにfx1とfx2というカテゴリが出てきたのは良いのですが、compとピックアップシミュレータが同時使用できないなど前機種より同時に使用できるエフェクト数が減ったのはかなり疑問です。(前後の機種はcompは専用カテゴリーになってる)

 

・アンプシミュレータ

本機からエフェクター前面に専用の物理つまみが設置され、モデリングアンプも各メーカー×3種類のバリュエーションを搭載、スピーカーシミュレータも有りと前機種から1番の進化を果たしている部分になります。

音のクオリティについては今聴くと何となく雰囲気は出ているといった感じで、歪みとして気に入るかどうかで判断するのが良いと思いますが、著者は基本的にアンプシミュレータを使用せず実機アンプをそのまま使いたい派なのでわざわざ使う程のものではないと思います。

カスタムアンプなるものが搭載されておりベースとなるアンプモデリングに自分好みのイコライジングを施し歪みの特性そのものを音作り出来るモードもあるのは面白いと思います。

 

・歪みエフェクト

OD-1やDS-1などBOSSのエフェクターモデリングが搭載されている為、音のイメージが付きやすくBOSSのエフェクターを駆使し出来るマルチエフェクターとしてのアイデンティティが出てきた様に思います。

またRATやガバナーなど代表的なエフェクトもある為、モデリング数としては必要十分な数だと思います。

ただ本機からCOSM技術によるフルデジタル歪みとなるので、この音を気にいるかどうかは好みが分かれると思います。

全体的にハイファイ(現行機種からすればローファイですが)になり、よく言えば繊細で煌びやかなサウンド、悪く言えば線が細く軽い音になりました。

クリーンからオーバードライブ系の歪みは中々良いのですがディストーション系の音が使いづらくデジタル特有の耳障りなハイの成分をどう対処するかが課題になりそうです。

COSM技術の歪みは長らく続き同世代ではOD-20やME-50などが同じくCOSMの歪みを搭載していますが、そのクオリティは歴然としており個人的にはGT-6<ME-50<OD-20との評価です。(全機種入手済み)

なので特に最近のME-80やGT-100などの最新COSMとは別物と考えるのが吉だと思います。

ただこの機種はカスタムディストーションが搭載されており、歪みの特性を自分好みに設定出来る点は良い点だと思います。

あと何故がカスタムディストーションモードのベースとなる歪みを選択する際、元々のモデリングには搭載されていなかったdistortion2と言うエフェクトがディストーションサウンドで1番良い音に思いました。

当時としてはフラグシップモデルでプロでも使用するギタリストがいたことから自分の使用方法に問題があるのではないかと模索(当時の2ch掲示板のレビュースレを数年に渡り遡る、使用ギタリストのブログ参照など)行うと、当時のプレイヤー間ではアンプシミュレータと歪みエフェクターの組み合わせて音作りを行うのが最適との声が多数上がっていました。

実際にやってみるとアンプシミュレータの歪み+ゲイン0のオーバードライブでブーストなどのやり方の方が中音が押し出されたスムーズなディストーションサウンドが作れるようになりました。

ただそうなると実機アンプとアンプシミュレータと歪みエフェクターの3点の音色の組み合わせとなる為、音作りの難易度が跳ね上がる事が懸念されます。

この辺りは音作りを簡素化したい著者のニーズには合わない結果になりました。

 

・その他エフェクト

ワウペダルにもモデリングが搭載され数種類と数は少ないですが選択の幅が広がったのは良い点です。

ディレイに専用tapスイッチが搭載された為tapスイッチとfeedbackつまみ、levelつまみで内部まで入らなくてもざっくりと音作りが出来るのは良い点だと思います。

 

・まとめ

BOSS初のフルデジタルマルチエフェクターという事もあり、まだまだ発展途上なイメージが残るGT-6で全体的に酷評なレビューとなってしまいましたが著者は不思議と嫌いになれない機種になります。

と言うのも今回はシングルコイルのギターでの判断でしたが、昔p90のピックアップで音作りしていた際は上記のような歪みエフェクターの悪い部分がそれ程感じられなかったため当たり前ですが使用ギターや実機アンプによっても評価がガラリと変わってしまった例なのかなと思うからです。

なので本機の音作りや実機アンプのイコライジングをもっと突き詰めればどうなるかとポテンシャルを引き出したくなる機種だと思いました。

MUSIC PLANETボーカルオーディション2018