ギタブロー

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BOSS ME-90 レビュー

・概要

ME-90は2023年から販売されたMEシリーズのフラグシップ&最新機種(2024年4月時点)で、最大の特徴はBOSSの30年以上のマルチエフェクターの歴史の中で長らく使われてきたCOSM技術からAIRD技術と言うものに取って代わられた点において歴史的な機種になる。

このAIRD技術は同時期機種のGT-1000やGX-100にも使用されているが、ME-90はその中で1番安価にAIRD技術を体感できる機種になる。

 

・ハードウェア面

外観はぱっと見前機種のME-80を彷彿とさせる見た目が特徴だが、

ME-80が重量3.6kgなのに対し

ME-90は重量2.9kgと約700g軽量化されている。

→ボスコンが1つ大体400gほどなので1.5個分軽くなる計算になり、GT-1000など最近のマルチエフェクターは大型化&重量増という流れからフラグシップモデルでありながら小型化&軽量化を目指してる点はgood。

オプションでBluetooth® Audio MIDI Dual Adaptor(BT-DUAL)を接続することで今までは有線で音源の再生やPC上での音作りがワイヤレスで行う事が出来るようになった。

→オプションで5000〜6000円も別売りで買う必要があるかは少し疑問である。(購入した上での意見)

MEシリーズ初のsend return端子が追加された事で外部からコンパクトエフェクターがME-90エフェクト内に組み込めるようになった(接続位置はOD/DSエフェクトとPRE AMPエフェクトの間)

→搭載されていないエフェクトを外部から取り込む事が出来るため機能補完の点で優秀であり、無いよりある方が絶対良いのだが、MEシリーズのコンセプト&購入するターゲット層的にどこまで価値があるかは疑問。

ME-80の乾電池6本使用からME-90は乾電池4本使用に変更(アルカリで6.5時間)

→乾電池をヘビーユースする際、充電池を使用する人が大半だと思うが、充電本数が4本か8本単位での充電器が多いので6本から4本は地味にありがたい。持続時間も必要十分。

ampかlineオーディオか出力先選択切り替えスイッチ増設

→前機種は搭載されていなかったが、phone/line out端子に接続すればそれに応じた出力に変更された。おそらく宅録用などで本機はギターシールドからのout put端子からでもline出力が出来るようにしたのではないかと推察。

 

と見た目が似ている前機種のME-80と比較してもかなりの変更部分があり、概ねグレードアップされたと言った印象。

ただし増設された機能が数多くあるため、過去のMEシリーズのコンセプトの一つである操作性の良さが少し損なわれている様に思える。

簡易な操作性を求めるならME-80の方に軍配が上がる。

 

・ソフトフェア面

なんといってもCOSMからAIRD技術への変更点が大きいが注意点はAIRD技術はプリアンプ部分に使用されてる。(機種によるがCOSMはプリアンプとOD/DSエフェクトにも採用)

COSMとAIRD技術の相違点は

COSM

サンプリング周波数:44.1kHz

DA変換:24bit

AIRD

サンプリング周波数:48.0kHz

DA変換:32bit  (AD変換はME80と同数の24bit+AF方式)

内部演算:32bit浮動小数点 (me80は記載なし)

となっている。

それぞれのスペック表をそのまま記載しただけであまり理解出来てないのが正直な所。

サンプリング周波数やAD/DA変換時のスペック数が上がっているので、より原音(デジタル化によって音が変化してないと言う意味)に近いサウンドなのだと認識してる。

その他エフェクトもGT-1000からのエフェクトを継承とあるので、前機種のME-80のエフェクトを使い回ししてるわけではなさそう。

アプリ上でエフェクトやプリアンプを追加可能。

→便利な機能だが、MEシリーズとして出すのであれば元から搭載されてるか無くても良いのではと思う。機能が増えるメリットよりも使用用途がどんどん複雑化されていくデメリットの方が大きく感じる。外部IRデータの取り込みなども同様。

→これらの現代的な機能を当たり前のように使いこなせる若いプレイヤーなどは異なる印象なのかもしれないが、著者(30代)には必要に感じない(少なくてもMEシリーズには)と感じてしまう。

 

・プリアンプ

ME-80ではマーシャルやフェンダーアンプなど代表的なアンプのモデリングが搭載されていたが、ME-90はそれに加えて名称の前段にXが付けられたシリーズのアンプモデリングが搭載されている。

特にnaturalやx-crunchなどのプリアンプはリアルなアンプサウンドにより近づいた印象。

その他のモデリングは前機種とそれほど差を感じられなかった。

AIRD技術を使用したプリアンプという事で期待も大きかったがデジタル特有の高音域の出音具合は相変わらずな印象。

この辺りは最近のZOOMのモデリング技術の方が頑張っている様に思える。

 

・OD/DSエフェクト

こちらはGT-1000シリーズから継承されたサウンドと銘打垂れているが、ME-80とサウンドは殆ど変わらなかった。

進化したかと言う点では残念な意見だが、そもそも後期COSM技術から歪みサウンドは実践に十分なクオリティなので使えないと言う意味ではない。

ME-80に搭載されてたOD-2とOCT FUZZが表上無くなり(アプリ上で入れ替え可能)され、新たにCENTA OD (ケンタロス系)とMUFF FUZZ(BIG MUFF系)が追加された。

個人的にはOD-2のドライブサウンドが好きなので残念だがケンタ系のオーバードライブも好きなのでまあOK。ファズも普段あまり使用しないのでまあどちらでもと言った感じ。

ただローゲインオーバードライブ系とディストーション系により2極化した印象なのでOD-2やガバナーモデリングはレギュラーメンバー化しておいた方が良かったと思う。

 

・その他のエフェクト

エフェクトの質自体に大きく変化はないが、COMP/FX1のカテゴリにピックアップシミュレータが表上で排除されたのは個人的に痛い点であったが(アプリ上では入れ替え可能)。代わりにTUNN DOWNが搭載された事でギター側でチューニングしなくても半音下げチューニングサウンドなどが出来る様になったのは大変便利。

 

・まとめ

ME-90はアプリを使いこなして使用する前提で考えると非常に優秀なマルチエフェクターと言える。

ただ使用感が簡単だとかME-80から音質面で驚く様な進化があったかと言う面で期待が大きかっただけに辛口なレビューになってしまったが、現行機種で初めてのマルチエフェクター選びと言う点ではお勧めできる機種ではある。

ただより簡単な操作性や金銭的な面から見た場合に前機種のME-80もまだまだ魅力ある選択肢に入ると思う。

個人的はME-80所持者はME-90に買い替えなくても良く、買い替えるとしたらタッチパネルやアサイン機能などGT-1000やGX-100などシステム形態が異なる機種への変更(必要と感じるプレイヤーに)が良いのではないかと思う。

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