ギタブロー

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BOSS ME-20 レビュー

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・概要

BOSS ME-20は2006年ごろに販売されていたマルチエフェクターで当時販売されていたME-50の廉価版という位置付けでラインナップされていました。

それに準じて機能も大幅に簡略化されています。

MEシリーズの中でも最小クラスのサイズと軽量さが特徴で、当時のスタジオミュージシャンもよく使用していたとネットの記事で読んだ記憶があります。(信用度低)

 

・ハードウェア面

外装はプラスチックではなくアルミを使用した金属製でジャック周りも後続のME-25やGT-1のような基盤からそのまま突き出た方式ではなく、しっかりと金属ナットで固定されたものであるためシールドの抜き差しによる基盤剥がれなどのトラブルが起きにくい構造となっており耐久面で優れています。

モニターは7セグメント方式ですが、搭載エフェクトは本体表面に記載されており、それぞれに番号が割り振られているためモニターの情報量の少なさでも分かりやすい工夫が施されています。

音作りに関しても4つのツマミと4つのスイッチでエフェクトの選択&音色調節がしやすく少ないコントロール系ながら操作性に重きを置いている印象を受けます。

非常に軽く、ギターポケットに入るサイズ感の為運搬性はGT-1と同レベルに優秀です。

 

・ソフトウェア面

内蔵エフェクトは非常に少なく、歪みエフェクトに関しては5つのみと非常に潔い仕様になっており、コンプと歪みは同時使用不可となっています。

また空間系もディレイとリバーブは同時使用不可能でMOD系はピッチ系のエフェクトが搭載されていないのが残念です。

アンプシミュレータは非搭載ですがphone端子からの出音はline出力用に自動チューニングされており、アンプ使用時とヘッドフォン使用時でわざわざ出力先の再選択を行わなくても良い点は便利です。

側面のcontrolジャックから別途フットペダルを使用する事で同プリセットから音量とゲイン量を上げたブーストモードを演奏中追加することが可能です。

フットペダルはME-50から採用されている、通常はボリュームペダルからの踏み込みでワウペダルに切り替わる仕様になっており、ZOOMのマルチでは未だに搭載されていない便利機能がこちらでも採用されています。

フットスイッチは3つで3パッチ切り替え方式と歪み・mod・空間をそれぞれon off出来るマニュアルモードがあり、特にこのサイズ感にして3パッチ切り替えは便利な使用です。

 

・歪みエフェクト

オーバードライブ

ブルースドライバー

ディストーション

メタル

ファズ

の5種類のみとかなり簡素ですが、それぞれ及第点に達したレベルなので、4バンドイコライザーと組み合わせることで今日の無駄に多くのエフェクトを搭載したマルチエフェクターよりもよっぽど使える印象です。

ただコンプと組み合わせてローゲインかつロングサスティーンなサウンドを作るにはエフェクト不足感が否めません。

 

・その他エフェクト

それぞれ基本的なエフェクトは搭載されているものの、オクターバーやピッチシフターが非搭載の為それらを多用するリードギタリストについては機能不足です。

ディレイとリバーブがどちらか一方しか使えない点はアンプのリバーブ使用などで対応出来るので著者はあまり困りませんでした。

普段使用する90%の音は出来るといった感じですが、残りの10%の音色に対してエフェクト不足による再現が出来ないのは歯痒い所です。

 

・まとめ

ME-20は実戦で使用するであろう9割方のサウンドは再現可能でメロコアやパンクギタリスト、またはギターボーカルなど特殊なエフェクトを使用しないギタリストには特にお勧めできるモデルとなります。

最近のマルチエフェクターのセールスポイントである"搭載エフェクトの多様さ"で勝負しておらず、エフェクト数は限られているが"曲やフレーズごとに細かく設定値を変える"プレイヤーには無駄なエフェクトが搭載されてない分その他に長けた(音作りの簡易さ、運搬性)ものとしてアイデンティティを確立していると思います。

同じサイズ感でも現行品でGT-1やZOOMのG2fourなどは搭載エフェクトや機能が多く、液晶モニタで情報量を補完しているものの音作りの煩雑さ(多様性とも言えるが)が見受けられる。

ギタリストが求めている音色は思っているほど多様では無く、ある程度の正解が決まっていると思う。それに対して今のマルチエフェクターは機能過多感が否めない。嫌な言い方をすれば下手な鉄砲数撃ちゃ当たる方式で無作為にエフェクトを詰め込んだ印象。

言い換えれば求めている音色のストライクゾーンは昔からそんなに広がっていないのに多数のボール球に埋もれてしまったエフェクトの中から自分の求めているエフェクトを探し出すだけで時間がかかってしまう。

そんなことならME-20の様に使えるエフェクトだけを最低限搭載された物の方が道具としてはるかに優秀な印象を受ける。

以上著者個人的な苦言ではあるが、音質やワイヤレス、タッチパネルなどの品質向上は多いに歓迎だがこういった側面のデメリットを解消したモデルが現行で販売されないかと期待している。

現状この様なニーズに応えられているマルチエフェクターはME-20を含めかなり限られていると思う。

もし同じ様な考えでマルチエフェクターをら探されている方がいれば本機はかなり理想に近いモデルになると思う。

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