先日古いマルチエフェクター”BOSS ME-20”を購入しました。
MEー20といえば2007年前後に販売されていたマルチエフェクターで、当時のBOSSの最小のMEシリーズだったと思います。
のちに後継機種のME-25が出たかと思えば、GT-1にそのポジションも譲り渡し、現在販売されているME-シリーズはギター用でME-80のみになります。
今回はそんなME-20の改めて良い点を紹介していきたいと思います。
MEとは?
まずMEシリーズとはエフェクターメーカーのBOSSから販売しているマルチエフェクターのシリーズの一つで、GTシリーズとの2種類に分けられます。
GTシリーズは細かな設定や堅牢性、エフェクトの種類など比較的本格仕様なのに対し、MEシリーズは使いやすさにコンセプトをおき、初心者やマルチエフェクターの操作に苦手意識をもっている方にも簡単に操作できるような工夫がされています。
MEシリーズはME-5・6・8・10・X・20・25・30・33・50・70・80と過去12種のシリーズがでており、ME-20 はその中でも9番目に販売されたマルチエフェクターになります。
ME-20の仕様
HPからの引用では
- コンパクト・エフェクター感覚のシンプル操作が可能。
- EZエディット機能でスピーディな音づくりが可能。
- 迫力のあるギター・ソロが可能な「OD/DSソロ機能」搭載。
- 乾電池駆動も可能なA4サイズのアルミ・ダイキャスト・ボディ。
- CD/MP3プレーヤーを接続できるAUXイン端子を装備。
とあります。
この機種はCOSMが採用されていないもので、搭載されたエフェクト数もそこまで多くありませんでしたが、その分迷う部分が少なくなるので音作りもかなりスピーディになります。
現代のマルチエフェクターの悪いところは、必要以上のエフェクト数を搭載しすぎな気がします。
加えてエフェクト順も並び替えることができるのがもはや当たり前になっているせいで音作りにかなり手間取るようになりました。
そもそもマニアックなエフェクトやエフェクト順をセオリーに反して並び替えたいという人はコンパクトエフェクターを使えばいいのではと思う所もあります。
その点ME-20は限定的ではありますが、必要十分な機能を搭載したマルチといえます。
加えてEZエディット機能でメーカーがあらかじめ作ったサウンドをジャンルごとでいつでも呼び出せるためそれをもとに微調整して音作りをしていくこともできます。
また電池駆動であったり、OD/DSソロ機能がついていたりとまだまだ語る部分があります。
他の機種にはない魅力
マルチエフェクターを選ぶ際に重要となってくる自身のポイントというものがそれぞれあるかと思います。
しかしそれをすべて満たしてくれているマルチエフェクターというものはなかなかあるものではないですが、このME-20はその多くのポイントをみたしてくれる機種になると思うので紹介します。
・コンパクトさ軽さ
マルチを使う理由に持ち運びのしやすさ、軽量さを求める方は多いと思います。
ME-20はA4サイズの大きさに1.5㎏の軽量さを実現しているため、エフェクターボードでなくてもトートバックに入れて持っていけるくらいの手軽さがあります。
・バッテリー駆動の有無
足元をすっきりさせるためや、電源環境が良くない現場でも使えるバッテリー駆動は地味にうれしい機能です。
アルカリ電池で最大13時間使用可能とライブでは十分すぎる駆動時間といえます。
・堅牢性
地味にすごいのが、シリーズの下位モデルは軒並みプラスチックを使用した堅牢性に少し不安を感じさせるものが多くある中、ME-20はアルミボディを採用した頑丈な作りになっています。
またジャック部分にもナットを使ったボディとの固定が施されており、ジャックの抜き差しによるジャックの半田割れを防いでいる点は素晴らしいと思います。
残念ながら後継機種のME-25ではこの仕様が廃止されています。
・操作性(音作りのしやすさ)
エフェクト数が少ない分エフェクト表面にその搭載エフェクトが描かれていて、欲しい歪みや空間系などの種類がワンタッチで、その中の歪みの種類を選ぶのにもノブを回すことで瞬時に行うことができます。
余計な数や並び替えがない分こういう点は現場での急なサウンドリメイクに役立ちます。
・ライブでの汎用性
本機は小型ながら3パッチを瞬時に切り替えられる仕様になっているほか、2フットペダル同時押しでチューナーモードやマニュアルモードに切り替えられたり、外部スイッチを追加すればさらにソロ時の音量アップが各パッチで行えるなど、ライブにおいて不足なく使えると思います。
またBOSSの偉いところは、ボリュームペダルを踏みこむとワウになるところも素晴らしいところで、ほかのメーカーだどどちらかしかできないものも多いため、うれしいポイントです。
・自宅練習での汎用性
自宅練習での汎用性AUXインが搭載されていたり、ヘッドフォン端子が搭載されている機種自体はそこまで珍しいものではありませんが、ヘッドフォン端子を使用すると、自動的にアンプシミュレータがオンになる点が気が利いていてGOODだと思います。
今の機種では宅録などのために、アンプシミュレータやキャビネット、その音作りもできるようになってしまったため、自宅練習とスタジオとで交互に使用するためには、いちいちその機能を設定しなければなりませんしたが、ME-20はそういった細かいことはできない分、端子を差し込むだけでヘッドフォンでの再生に最適なサウンドにしてくれるのは手間がかからず便利な点だと思います。
歪みのクオリティは?
サウンドクオリティはどうでしょうか?
古いマルチエフェクターは音が悪いというのが世間での通説になっていますが、自分は決してそうは思いません。
そもそもいい音の定義があいまいな中、全員が口をそろえて良い音というものは存在しないと思うからです。
そこで個人的な意見というのを踏まえての内容であることをご了承ください。
歪みは必要十分
歪みエフェクターはオーバードライブ、ブルース、ディストーション、メタル、ファズの5つになっています。
オーバードライブ
いわゆる一般的なオーバードライブといった感じですが、変に中音が持ち上げられすぎてるわけでもなく、ドライ音を混じらせた歪みといったこともありませんでした(音の芯を出すためか、たまにこういうものがある)。
またそこそこ歪むため、GAINをあげればクリーンのアンプでもギターソロを弾くには十分なほど歪んでくれると思います。
イメージとしてはSD-1をもっと歪ませた感じです。
ブルース
こちらはおそらくBD-2のサウンドを踏まえたもので先ほどのオーバードライブに比べると少しドンシャリな感じがします。
少しドライ音が混じったような歪み方をするので、ソロの時にも存在感のあるサウンドが出せると思います。
こちらは完全にDS-1をイメージしたサウンドで間違いないと思います。
低音がすっきりし粒の細かいタイトな歪みが特徴です。
最近のディストーションはアンプライクさやオーガニックさを意識するあまり逆にこういうザ・ディストーションサウンドというのは新鮮だったりします。
しっかりきれいに歪んでくれるのでバンドでも使いやすく、今回の歪みの中で一番のお気に入りでした。
メタル
BOSSといえばメタルゾーンが有名ですが、これはそのサウンドとは少し違ったように感じます。
この時期のメタル系エフェクターにはメタルゾーンのほかにメタルコアというエフェクターがあったと思うので、もしかするとそちらのモデリングなのかもしれません。
そもそもCOSMを採用していないので、既存のコンパクトエフェクターの再現でなく全くの新しいサウンドなのかもしれませんが。
先ほどのディストーションにミドルを削ってローを足したドンシャリ系のサウンドで、一聴してメタルなサウンドとわかる音になっています。
ファズ
これはよくわからない歪みで、ファズといえばBIGMUFF系かFUZZFACE系の歪みが収録されてることがほとんどなのですが、これはそのどちらにも当てはまらないような歪みでした。
さすがに昔のデジタルエフェクターでファズのサウンドのニュアンスを再現するのはなかなか難しいのかもしれません。