ビンテージ(?)マルチエフェクター! ZOOM GFX-5編
お次もZOOMのGシリーズの前世代のGFXシリーズを紹介します。
その他のGFXシリーズの紹介はこちらからどうぞ!
今回紹介するのは
・ZOOM GFX-5
6000円ほどで購入
スペック:
フラッグシップモデルGFX-8の一つ下のモデル。
(GFXシリーズは1,3,4,5,8と707、707Ⅱが存在する」
GFX-1が606の進化型だとしたら、GFX-5は707Ⅱの進化型といえる。
GFX-3より上は当時の最新技術”VAMS”採用。
またGFXシリーズではこの機種のみ”ARRM”採用。(のちのGシリーズ上位機種でも搭載されている)
タップテンポやマニュアルモードなどの機能搭載。
良いところ:
金属製のわりに軽め。(約2.8kg)
電池駆動可能。
マニュアルモード搭載によりコンパクトエフェクターのように個別でオンオフができる。
安価で入手しやすく、そこそこ市場にも出回っている。
”VAMS”技術による歪みはなかなか〇。
ワウの音が〇
音作りの操作がしやすい。
歪み前段に”アイソレータ”としてイコライザーが搭載されているため幅広い音作りが可能。
悪いところ:
ワウがMODのカテゴリーにあるため、コーラスとかと同時掛けできない。
ブースト2が変に歪んで使いにくい。
コメント:
”VAMS”技術が搭載された本機だが、そもそもVAMSとはどういうものか?
ZOOM GFX-8のキャッチコピーに
”アナログとデジタルをハイブリッドに搭載したVAMS搭載”
と書かれているためか某掲示板では「歪みはアナログ回路で構成されている」と解釈されているがVAMSが搭載されているもののカタログや取扱説明書などを漁ってもメーカーからそういった類のことは一切記載されていない。
VAMSとは
”目的のサウンドをモデリングするために最適な構成に内部を変化させる”
とあり、分かるようなよく分からんような表現がされている。
つまり歪みの部分にもVAMSの技術は使われているとは思うがどの部分にどういう風にアナログの部分が使われているかよくわかりません。
歪みがアナログかデジタルかなんてことはさておいて
その音のクオリティは確かに上がっている。
例えばマーシャルのモデリングもクラシック、スタンダード、モダンと3種類あるがそれぞれに個性があり、そのうえでマーシャルらしさを感じることができた。
音の解像度も上がっていて、現行機種の音に近づいてきている感がします。
しかも歪み前段にアイソレータが搭載されていて帯域のブースト&カット、低・中音、中・高音の帯域を調整したりできるため、モデリングされた歪みの微調整ができるようになったことが素晴らしい。
このおかげで実戦でも十分使えるほどのサウンドクオリティが実現できると思う。
ちなみにZOOM G3から”ZFX-4”が搭載されアンプモデリングのクオリティが飛躍的に向上したといわれているが、本機のアイソレータのMIDをカットすると同じようなサウンドが得られた。
このことからいかに現行機種のアンプモデリングがミドルの削れたドンシャリのサウンドでバンドアンサンブル内でアンプモデリングのみの歪みでは音が抜けてこないかが理解できる。
G3以降では結局前段にオーバードライブなどをかまして音が抜けるようにするか、アンプモデリングを使わないといった選択にスタジオ&ライブハウスではせざるおえない。
そういった作業が好きなギタリストならいいが、最初から使える歪みを用意しておいてほしいと思う著者の様なギタリストは本機を使うほうが合理的な気がする。
少なくても自分はそういった”音作りの遠回り”をさせる最近のマルチエフェクターがあまり好きではない。
最近はアンプシミュレーターとマルチエフェクターがごっちゃになってしまっているのが主な原因だと思う。
話を戻して、
とにかく”VAMS”によるアンプモデリング&歪みモデリングは「その音の特徴をそれなりに再現しつつ、スタジオやライブでも使えるような歪み」として優秀だと思う。
ただそのVAMSにも致命的な欠点があって、
”歪み前段にブーストをかますと音が割れる”というものである。
もともと歪み前段にブースターのモジュールがあるのだが、これをオンにすると後段の歪み(特にPD-1とか)がひどく音割れ(サチる)する。
これを防ぐためにはコンプ&アイソレータのモジュールのレベルをわざわざ下げる必要がある。
しかも使用ギターがハムバッカーの場合、ブーストをかまさなくても音割れすることがある。
特別高出力なピックアップだったり、メーカーも想定しないほどのブーストをGFX-5前段にかまして起こることならまだしも、想定の範囲内の出力でこれが起こるのは明らかにおかしい。
他のブログでもこのような現象を指摘している方がいたがメーカーによると”仕様”とのことらしい。
と色々納得がいかないがまあコンプ&アイソレータモジュールのレベルを下げればいい話なので文句はこれくらいにしたいと思う。
自分が所有している(気に入っている)機材の中では一番ハイスペックなマルチエフェクターなのに電池駆動が行えて割と軽量なところがほんとに素晴らしいと思う。
そんなGFX-5的なマルチエフェクターを現行機種で探すとなるとBOSSのME-80くらいしか当てはまらないのではないかと思う。
それでもちょっと重かったり、電池の持ちが悪かったり、中古価格でもBOSSは値段があまり下がらず、購入に足踏みしてしまう。
著者は楽器店で試奏程度しか試していないがアンプモデリングのクオリティはGFX-5とそこまで差は感じないものの、パッチチェンジ時の音切れのなさなど現行機種なりに進化は感じられた。
ただ機能としてはここまで求めていないので前機種のME-70でも自分は良いような気がする。
アンプモデリングの数やイコライザー、T-SCREAMが無いくらいでさらに安く入手できるのでねらい目かもしれない。
多機能で操作しやすいマルチエフェクターを探すとBOSSのMEシリーズばかりに目が向けられるが本機のような機材もあるのでぜひ試してほしいと思います。